1. 目的
本規定は、OLIVE JAPAN 国際エキストラバージンオリーブオイルコンテスト(以下「本コンテスト」という)の審査に関わる基本理念とその方法論(以下総称して「プロトコル」という)を規定するものである。
本コンテストのプロトコルのうち、オリーブオイルの評価に関する方法論は、基本的にInternational Olive Council(国際オリーブ理事会、以下「IOC」という)が以下に定める方法論に準拠する。“COI/T.20/Doc. no. 22 rev. October 2018” as to define “ORGANOLEPTIC ASSESSMENT OF EXTRA VIRGIN OLIVE OIL APPLYING TO USE A DESIGNATION OF ORIGIN”.
2. 基本理念 – 公正性
本コンテストの基本理念は、その審査に当たって最も公正であり正確な審査を担保することにある。この目的のために、本コンテストならびにその主催者である一般社団法人日本オリーブオイルソムリエ協会は、本コンテストの運営においていかなる政府、団体、オリーブオイル生産者や販売者及びそれらの団体から経済的な支援を受けるものではない。また、日本オリーブオイルソムリエ協会は、いかなる場合でも、開講する講座に教材として使用するオリーブオイルの売買を除き、一切のオリーブオイルの売買等のビジネスを行うものではない。
本コンテストで招聘される審査員及びオフィシャルテイスターは、本コンテストの審査会参加のための費用(航空券等の渡航費及び日本での滞在宿泊費)につき主催者からのみ該当金員相当の支給を受け、いかなる第三者からもその参加のための費用を援助されてはならない。
すべての出品オリーブオイルは、いかなる場合でも審査員及びオフィシャルテイスターの目に触れない場所で管理される。万一、審査員もしくはオフィシャルテイスターの一人でも出品オリーブオイルを目にすることがあれば、その審査員はその後の審査会からは除外される。
このように出品オリーブオイルの情報については、審査会の前およびその期間中完全に審査員及びオフィシャルテイスターには秘匿され、その秘匿が守られた出品オリーブオイルのみが審査され各賞が決定される。
審査会での審査オリーブオイルについても、各審査員及びオフィシャルテイスターは事前に特定の利害関係が生じる可能性がある商品について宣告することが求められ、万一かかる出品エントリーがあった場合には、その出品オリーブオイルは当該審査員もしくはオフィシャルテイスターの属するパネルでの審査から排除され、別の審査パネルによって審査される。
3. 審査員及びオフィシャルテイスター
審査員及びオフィシャルテイスターは、日本オリーブオイルソムリエ協会がその候補者を推挙し、別途定めるOLIVE JAPAN 審査員選定委員会(以下「パネルコミッティー」という)にて評決により決定し招聘される。パネルコミッティーは本コンテストの審査のために適当な数の審査パネルを組織し、それぞれのパネルのリーダーを決定する。なお、各パネルは一名のリーダーと二名以上のパネルメンバーから構成される。
審査会は、各パネルリーダーがパネルメンバーらによる評価に関する議論を率先し最終的な評価を決定する。
審査員の評価能力を高度に保ち審査の正確性を期すために、審査会は毎日朝には開始され遅くとも午後3時30分にはすべての審査を終了する。また同じ目的のために、一人の審査員ないしオフィシャルテイスターが一日に審査する出品オリーブオイルは最大で35品までとする。
4. 審査員及びオフィシャルテイスターによるオリーブオイル事業への関与についての開示ポリシー
本コンテストは、その審査の究極的な公正性を維持するために、審査員及びオフィシャルテイスター本人もしくはその家族ないしは関係者(以下「審査員関係者」という)が生産もしくは販売を行うか、審査員関係者が何らかの利害関係を有する一切のオリーブオイル商品の本コンテストへの出品を禁ずる。
審査員及びオフィシャルテイスターは、いかなる場合も本コンテストに出品されたオリーブオイル商品について利害関係を有してはならず、またその就任に当たって、本コンテストへの出品の有無に関係なく、オリーブオイルの生産または販売に関するすべての利害関係を本コンテスト主催者である日本オリーブオイルソムリエ協会に対して書面で開示しなければならない。
5. 審査会場ならびに審査に使用する備品等
5.1 テイスティンググラス
審査に当たって使用する容器は、通称「ブルーグラス」といわれるIOCが規定する公式テイスティンググラスとする。(COI/T.20/Doc. no. 5, Glass for oil tasting)
「ブルーグラス」は、審査に使用する前に無香料の洗剤によって良く洗浄されまた流水で2回濯がれたものを使用する。
5.2 その他の審査に使用する備品等
審査に使用する以下の備品等は、審査員及びオフィシャルテイスターの各審査台に適宜提供され、また必要に応じて審査員及びオフィシャルテイスターが補充できるものとする。
- 審査するオイルはその規定量がブルーグラスに注がれ、審査番号が付されるとともに蓋をされ、保温器によって28º C (+ 2º C以内)に維持されて審査員及びオフィシャルテイスターに提供される。
- 評価表
- 鉛筆またはボールペン
- りんごのスライスまたはプレーンヨーグルトを入れた皿
- 室温に保たれた炭酸水及び水の入ったグラス
6. 審査の手順及び評価表
各審査員及びオフィシャルテイスターは、ブルーグラスに注がれたオリーブオイルについて、まず香気を確かめその後食味を評価する。評価分析は、olfactory, gustatory, qualitative retronasal, tactile, kinaesthetic sensationsの各要素につき注意深く行い、所定の評価表にある評価項目に従ってその強度を評価表に記入する。
パネルリーダーが各審査員及びオフィシャルテイスターの評価表を回収し、各項目の評価を検査する。その際審査員ないしオフィシャルテイスター間で評価点の差異が著しい場合には、かかる審査員ないしオフィシャルテイスターと協議しまた場合によっては再審査を命じる。
審査に供されるオリーブオイルに関しては、生産社名、商品名、ブランド名、生産国(地域)などの情報はすべて審査員及びオフィシャルテイスターには秘匿されるが、品種名のみは開示される。なお、品種名が稀少で一般的でない場合には、「その他」とされる場合もある。
万一、パネルリーダーが他のパネルによる再評価を望む場合には、かかるオリーブオイルは別のパネルにより再評価される。
また、評価が銀賞もしくは賞なしの判定が付きづらい場合や、最優秀賞を決定する場合には、当該商品につき、最初の評価を行ったパネルと別のパネルが再評価をおこなってこれを決定する。
評価表はIOCが開催するMario Solinas賞で使用している評価表に準拠する。
7. 審査員による評定のフィードバック
本コンテストは、優秀な品質の商品を顕彰することを目的とすると同時に、賞の受賞有無を問わず生産者の品質に関する意識を啓蒙し、また品質向上の一助となることを目的とする。このために、審査員の評価やコメント、評点の概要について、本コンテスト修了後すべての出品者に電子メールにて情報提供を行う。なお、かかる情報提供はあくまで本コンテストでの顕彰を目的とした審査結果としての参考情報であり、公式な品質等級鑑定を想定されるものでは当然無い。また評価表そのものの開示は行わない。
8. 出品サンプル
審査会の終了後、すべての出品オリーブオイルは日本オリーブオイルソムリエ協会に送付され、その講座の教材及び研究資料として用いられる。なお、いかなる場合にあっても、これらが出品者への返却されたり協会外の第三者に転売されることはない。
9. 本規定の効力
本規定は、2013年11月23日に起草され、2024年11月10日の改訂を経てウェブサイトに公示する「コンテスト開催規約」とともにあわせて直ちに効力を有するものであり、本コンテスト開催のすべてを規定するものである。本日本語版と全く同一内容の英語版が存在し、それぞれが同等にその効力を有するものとする。
参考資料:
メダル授与水準